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笹やぶをこいで進む

[第25回]御所覧場へ

早い時刻で5日目の下山

浅間大神ピークを西に下りる。急な下りで、慎重さを欠けばそのまま滑落だ。立木につかまり、ゆっくりと下りていく。

下りた先は、草が刈られた林道のような場所。ここで川崎隊長が提案する。この林道を南に下れば、古畑の集落に出られる。時刻は午後1時55分。時間は十分あるのだ。

川崎さん「どうしますか」

記者(忍足)「尾根を縦走したらどれくらいでしょうか」

川崎さん「健脚で1時間です」

記者「では、そのまま尾根を行きましょう」

即断即決である。きょうのルートをさらに延長し、安倉谷方面を目指す。

すぐに急登の尾根が待つが、ルート延長なのだ。前へ前へと進む。きょうのルートでここから先が一番の難所だろう。

低い笹の生えたやせ尾根を行く。南側も北側も眺めがいい。上空がかき曇り、ポツリポツリと雨が落ちるが、何のこれしき。北側の下には民家が見える。里も近いのである。

御所覧場の林道へ出る。本日のルートの終点

やせ尾根はぐんぐん下っていく。尾根に旧建設省の杭が出る。鴨川市と富津市境である。アップダウンは続くが、それほど苦難ではない。間もなく本日のゴールだと思えば、足取りも軽くなる。

やがて尾根にVHFのアンテナが出る。鴨川市側の集落の共同受信設備だろう。アンテナ線に沿って尾根を進むと、やがて林道に出た。

ここが殿様も通ったという古道で、ここから長狭平野の眺望が利く。殿様がご覧になった場所という意味で、ここを御所覧場という。なるほど、長狭平野が西から東に見渡せる場で、爽快感がある。殿様になった気分であるが、爽快にさせているのは、本日の山ルートが終わったことが大きいだろう。

左手の腕時計を見ると、「14時39分」の表示。5日間でもっとも早い時刻の下山である。林道に腰を下ろし、シューズを脱いで脱力する。視線を上げれば、これまで歩いてきた大きな尾根が覆いかぶさるようにして存在する。よくぞ歩いたものだ。

そのままコンクリート道を歩くと、やがて県道88号(富津館山線)に出た。その先が金束交差点。ここが本日の終点になったことで、次回が非常に楽になった。

(つづく)

【写真説明】笹やぶをこいで進む

【写真説明】御所覧場の林道へ出る。本日のルートの終点

10年4月28日 6,973
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