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霧氷を思わせる木之根街道の雪

[第26回] 木之根峠へ

雪山思わせる6日目に

この分水嶺取材では待ち合わせ場所で、記者(忍足)と川崎勝丸さんが打ち合わせをするのが恒例である。その川崎さんは毎朝、その日のルートを示した地図を持参する。前回は東西に馬鹿長い地図を持参されて、記者が仰天した。6日目は地図そのものは小さい。小さいが、赤で示されたルートはS字状に曲がりくねっている。そのSも小文字ではなく大文字である。大蛇のような「S」がきょうの行く手の困難さを物語る。そんな6日目のスタートである。

前回は県道88号の富津市・鴨川市境で終わりである。吉例のごとく、ここから6日目が始まる。前夜に降った雪で、郡界尾根は真っ白。雪山を思わせる6日目だ。

県道88号から千葉営林署管理の大山林道を入る。幅4b、全長3903bの表示がある。コンクリートのしっかりした林道である。雪化粧が房州の山でないような気にさせる。四肢は凍えて、冬山気分十分。目に飛び込む景色は、房州では年に一度ぐらいしか見られない絶景である。

県道から10分ほどで、御所覧場へ着く。6日前に眺めた長狭平野が見えるが、尾根部分はうっすらと雪化粧だ。また趣の違う眺めである。

この変形三叉路から、尾根へ取り付く。ここから尾根経由で富津市豊岡に抜ける道が木之根街道で、そのピークを木之根峠という。早くから広場登山クラブが整備していて、標識もしっかりしている。

木之根峠手前の嶽神ピーク

登り口にいくつかの墓石がある。山の仲間がこの道を整備するたびに、墓石が出てくるという。信心深い山仲間たちは、この墓を登り口に並べている。墓があるということは、この辺は人が頻繁に行き交う交通の要衝だったのだ。いまは見る影もないが、当時は歴史ある街道だったのである。

山道を15分ほど歩くと、嶽神ピークに出る。富士山型の石宮に「嶽神」と彫られていることから、こう呼ばれる。石は巨大で、周囲には馬頭観音や丸石道祖神もある。嶽神石には「明治十三年 金束村」の文字。ふもとの金束村の信仰の対象である。ピークの周辺は一段下がって平地があることから、この辺に建物があったかもしれない。それほど歴史を感じさせる。

そのまま尾根を進むと15分で、木之根峠に出る。ここが三叉路で、六面地蔵や無縁仏の碑も鎮座する。歴史ある峠である。

(つづく)

【写真説明】霧氷を思わせる木之根街道の雪

【写真説明】木之根峠手前の嶽神ピーク

10年4月29日 6,526
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