企画・エッセイ » 記事詳細
津森山の尾根から西側を眺める

[第29回] 三境へ

変貌した津森山に驚く

記者(忍足)が津森山へ最初に登ったのは、2005年2月で、やはり川崎さんの案内でだった。

大崩から入る南側からの入山だったが、当時は眺望がきかない山だった。ピークは薄暗く、楽しいイメージは無かった。ところが、この変貌ぶりはどうだ。西の鋸南町側はもちろん、北の富津市側の眺め、東の鴨川市側、さらには南の三芳方面までよく見渡せる。一部に杉の木立が残るが、これだけ見えれば御の字だろう。地元の人たちが、協力して伐採したという。山の楽しみはやはり「眺め」。これなくしては登った甲斐もない。こうやって山頂が切り開かれたのも、地元の人たちのお陰なのだ。

雪の残る山頂で弁当を広げる。かじかむ指で握り飯をほお張った。魔法瓶の冷えた麦茶が恨めしい。ホットにすればよかった思うが、後悔先に立たず。

食後に北側の眺めに見入る。これまで歩いてきた郡界尾根が目の前に横たわる。南を見れば伊予ヶ岳、富山の間に遥か洲崎が霞んでいる。今回の取材はあの近くまで歩くのである。

体が冷えるので早々に出発。

三境の小さなピークに立つ

南斜面を下り、民家を右に見て、コンクリート道に出る。途中に地蔵菩薩、光明真言、馬頭観音などの石仏群のある切割がある。法明集落を左下に見て進むと、もう少し大きな切割になる。ここを西に行けば、鋸南町大崩である。

南下ルートはこの切割から左側の尾根に取り付いていく。紫のテープを目印に、ずるずるの尾根を登る。滑ることこの上なし。

が、いったん尾根に登れば、またまたルンルン道である。古道のような尾根道が続く。湿っているが歩くには支障のないルートである。

川崎さんらが苦心して開拓した道で、まだハイキング誌などにも紹介されていない、隠れた道だという。

切割から25分で、三角形の小さな頂になる。国土調査の杭が打ち込まれている。このピークを三境(さんきょう)という。鋸南町・南房総市・鴨川市の境である。標高は272b。津森山も3市町の境で、この地点も3市町の境。この分水嶺は、境界の連続でもあるのだ。

(つづく)

【写真説明】津森山の尾根から西側を眺める

【写真説明】三境の小さなピークに立つ

10年5月3日 6,519
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved