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鞍骨山のピーク。眺望はない

[第33回] 御殿山へ

鹿島まで 大崩落の爪跡くっきり

県道を東側に少し歩く。川崎勝丸さんが背のザックからナタ鎌を出す。ということは、これから先がやぶこぎなのである。

県道から無理やり山に入る。繁茂した竹が行く手を邪魔するが、一行はなんのそのである。「このルートはそう簡単ではありません」と川崎さん。

竹やぶの中を歩く。倒竹をまたぎ、くぐり、やぶこぎしながらの前進だ。左下の沢から水の落下音が聞こえる。慎重に探せば、この沢にそれなりの滝があるかも知れぬ。そんな期待感も高まるが、きょうはあくまで尾根歩きである。

やがて巨大なタマグスの木と出合う。やぶに囲まれたこの尾根で樹齢何百年という大木が生きているのだ。その精気をもらおうと、木肌に頭をつける。

県道から30分歩いて、小さなピークになる。ここが標高266bの鞍骨(くらぼね)山である。千葉県のコンクリート杭があるので、富山・丸山の境であることが分かる。周囲は樹木に覆われ、眺望はない。ここで小休止を入れる。

尾根は西側に続く。やせ尾根を慎重に歩き、急な下りを立木につかまりながら降りていく。湿った土で滑りやすい。誰と競争するわけでもない。ここは慎重に降りるのみ、である。

倒木がいくつもあるゾーンを抜けると、やがて大規模な土砂崩れの現場に出る。このピークが金ヶ塚山(標高264b)で、現在は崩落対策工事が施されている。金ヶ塚山は、御殿山の東尾根に連なるピークで、過去の大崩落で東星田から御殿山へ続く登山道を押し流してしまった。崩落の復旧工事は終わり、地すべりセンサーも設置されているが、あまりに広大な崩落のため、現在も東星田からの登山道は閉鎖されている。

金ヶ塚山から嶺岡愛宕山を眺める

慎重を期しながら、このピークに上がる。左から富山、津辺野山、伊予ヶ岳の順で富山地区の名山が並び、360度の視界がある。嶺岡山系の山並みが美しい。が、この斜面が危険はことは変わりない。早めに立ち去る。

尾根を戻ると、東星田からの登山道が出てくる。金ヶ塚山の崩落で下側は通れないが、尾根からは歩けるのだ。

擬木とチェーンのある道を歩く。5分ほどで川辺の高照寺からの登山道と合流する。ここを左に折れると、御殿のおっぱいである。

登山道はすっかり整備されていて、さすがは房州低名山の代表格だ。

最後の急な上りをこらえると、山頂になる。すでに5人ほどの登山客がいた。ここで11時55分。昼食を取り、登山客らと房州山談義になる。「またどこかでお会いしましょう」と分かれ、下山路に入った。

(つづく)

【写真説明】鞍骨山のピーク。眺望はない

【写真説明】金ヶ塚山から嶺岡愛宕山を眺める

10年5月8日 7,401
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