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大嶺山の三角点ピーク

[第40回]大峰山へ

尾根で息づく地域信仰

長い旅路も、いよいよ館山市内である。ここからは千倉との境尾根を歩いて、布良を目指す。いくつもの市町村をまたいだ長旅も、いよいよ最終盤である。例によって川崎勝丸さんがこの日のルートを示す地図を出してくれる。長いような短いような。もう終わりたいようで、まだ続けていたいような。そんな気分である。

連日の雨で、この先の予報も雨。この日は奇跡的な雨間の晴れである。

館山市竹原の相賀地区を出発。ここから尾根を上がり、前回のゴール地点に合流する。まずは里山歩きである。

尾根のてっぺんを切ったようなV字谷の道を歩く。両側はコナラの雑木林で、歩いていて気持ちがいい。かつては馬車も通ったであろう、広い道だ。坂を上ってしばらく歩くと、左に双体道祖神のような石仏が出る。木の根に隠れて目立たないが、この道が街道であった証拠だろう。石仏にはかすかに「清澄道」の文字が見える。尾根伝いに古道が発達していたに違いない。

里山の風景が広がる雰囲気のいい道である。右手に出野尾の発電風車と焼却場の煙突が見える。これからあの東側まで歩くのである。

間口1間の社殿の山の神

やがて道にはシルバーの丸山国調杭が出る。館山市との境だ。出発から30分。見覚えのある峠に出る。ここが竹原峠で、前日との連結点になる。

コンクリート坂を上ると、左に見慣れた民家が出る。絶景の場所である。きょうは立ち寄らず、そのまま坂を上がる。

左にマキの木が境樹として植えられた道を歩く。ややあって三角点が出る。ここが「大峰山」(標高108・9b)。近くには戦争遺跡と見られる竪穴がある。穴の先にブロックに囲まれ屋根のある石宮群。立派な手水鉢もある。

大峰山を南に下る。雑木林の中、ルンルン気分の下りだ。遠く、クルマの走行音がする。国道128号を走るクルマである。

スダジイの林を抜けると、コンクリート道になる。そのまま進むと、倒れた鳥居が出て、その左手に歩く幅のコンクリート道がある。上にあるのが古峰ヶ原神社で、下が山の神という。上は石宮のみで、下は間口1間奥行き1間の社殿がある。手水鉢の銘は「明治二年」。社殿内には棟札が掲げてあって、平成8年に山の神に入る道にコンクリートを打設した旨の表記がある。施工は田村農協組合役員。地域の信仰はこの尾根上で脈々と息づいている。

(つづく)

【写真説明】大嶺山の三角点ピーク

【写真説明】間口1間の社殿の山の神

10年5月17日 19,739
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