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尾根にあるアカゲザルの捕獲装置

[第47回]根本峠へ

迷い 滑り また迷う

神余トンネルから先は、アップダウンのやぶこぎとなる。郡界尾根のような激しい高度差ではなく、快適なアップダウンである。

トンネルから10分ほどで、石宮のある場所に出た。石材を組み立てた宮がある。「文化]年間の文字があり、立派な石屋根も載る。それなりの信仰対象なのであろうが、人が訪れた気配はない。

この石宮の下に降りそのまま行くと、いくつかの檻(おり)わながある。アカゲザルの捕獲装置である。白浜地区で増殖している外来種で、これを一網打尽にしようという作戦だ。このルートは館山・南房総の市境である。

やぶこぎをしながら歩くと、やがて勾配が下りになる。降りた先に民家があって、細い流れもある。ここが白浜地区の大作場(おおさば)で、かけ流しで有名な温泉宿「林景荘」前に出た。流れは巴川の上流部で、平砂浦に注ぐ。雨上がりとあって、流れは小さいが豪快である。

ここで昼食休憩となる。路傍で弁当を広げる。これが最後の「分水嶺弁当」だ。ゆっくり味わって食べる。同行の女性陣から、おかずやらせんべいやらが差し入れられる。うれしい昼食だ。

道なき道を難儀して歩く

旅程最後の昼食を終え、先を目指す。悠長に構えていられない。時間が限られているのだ。

市道を横切り、六地蔵のある場所から、左の坂を上がる。出羽三山の石や磨崖仏のような崖もあるが、石は横たわり、すでに信仰の形ではない。地元では下段の路傍の地蔵を信仰しているのだろう。

ここから先はひどいやぶである。地元の人も歩かないのだ。やぶは四方に広がり、行く手を阻む。

20分ほどやぶこぎし、ようやく道らしい道になる。例の路傍の水溜めもある。やがて戦国の世の山城のような段々地になる。広い尾根で迷う。さらに上へ登るが、ずるずる滑る地盤。ここが本日の最大の難所だろう。ここをこらえて登って、尾根へ出る。

この先でさらに迷う。何しろ道がないのだ。ベテランとはいえ、道なき道を歩くのは難儀だろう。30分ほど迷いながら、道が修正されていく。

脚は疲れ気味だが、ゴールを目指さなくてはならない。基本的に楽しき分水嶺歩きなのだ。

(つづく)

【写真説明】尾根にあるアカゲザルの捕獲装置

【写真説明】道なき道を難儀して歩く

10年5月25日 20,842
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