企画・エッセイ » 記事詳細
鹿野山の大きな頂が見える

[第2回]台倉手前へ

獣害に嘆く山中の農家

ぬかるみの谷底から、尾根筋へ向かう道に取り付く。かなりの傾斜だが、道そのものは歩きやすい。速いペースにも負けず、先達に従う。

ルートの左手からゴルファーの声が聞こえる。今度はジャパンPGAゴルフクラブ。鹿野山周辺はゴルフ場銀座≠ナ、あちこちにゴルフ場が点在する。このルートは複数のゴルフ場の縁を通っていくのである。

地図では尾根上に182・3bの四等三角点(点名は「苗割」)があるが、今回は確認しない。そのまま歩くと禁猟区の赤い看板がある。案内の川崎さんが言う。「ここが平川トンネルとの分岐です」。この尾根の下に国道465号のトンネルがあって、尾根上に民家があったころは、下から郵便配達が歩いて登って来たという。それも今は昔。尾根には人の気配はない。

大量に落ちたクリを踏みしめて行く

やがて道は平台のような場所に出て、一部は草が刈ってある。かつてここに住んでいた人が、作業したのだろうか。平台にはとげの痛いカラスザンショウが生い茂り、地面は見えない。

その平台の縁を歩いていくと、右手後方に雄大な鹿野山が見える場所になる。ここで小休止。一同、ザックから水筒を出し、のどを潤す。雨上がりで湿度が高く、少々バテ気味である。

鹿野山の大きな頂の右手に、新日鉄の白渓山荘が見える。まったく大きな山である。

ここから先は下り気味の道で、足元には大量のクリが落ちているが、誰も拾わないのだろう。クリのイガを踏みしめて歩くと、降りた先が杉林。ここにネットに囲んでシイタケのほだ木が立ててある。道に轍(わだち)はないが、農家がここまで来て、栽培しているのは間違いない。軽トラックが走る幅はないので、徒歩かバイクだろう。

その先の左カーブを曲がると、民家が出る。野中の一軒家で、犬がほえる。民家の庭先におばあさんが作業していて、「この辺はイノシシがひどくて」と獣害を嘆いていた。

民家の先の道を行くと「この先通行止め」の手書き看板。コンクリート道なので、迷って入ってくるクルマがあるのだろう。民家にとっては迷惑な話だ。獣害に悩む集落で、この土地の山深さを思う。

(つづく)

【写真説明】鹿野山の大きな頂が見える

【写真説明】大量に落ちたクリを踏みしめて行く

10年11月11日 8,281
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved