企画・エッセイ » 記事詳細
石射太郎山頂近くの石宮

[第4回] 高宕観音へ

高宕観音の入り口に立つ

石射太郎とは、山名としては珍しい部類だろう。標高は258b。三角点はないが、広く山仲間に親しまれている山である。現地にある看板に、その名の由来となった伝説が表示されているので、紹介しよう。

昔、台田久保(でーでっぽ)という巨人が、高宕山北方の高い山の上の大きな石に向かって、鹿野山から強引に矢を射た。すると石は、はるか南方まで射飛ばされた。このとき、鹿野山の台田久保は「石射たろう」といった。これを取って、この山が石射太郎と呼ばれるようになったという。

巨人伝説は全国各地にある。鋸南町にもでーでっぽの足跡という場所があり、巨人伝説は気宇壮大である。この巨人伝説の残る山で、雄大な景色を眺めながら、弁当を広げる。10月だというのにツバメが空を切る。

正面に八郎塚、その右には高宕山が並ぶ。ここは上総だが、安房の低名山にも負けず劣らず素晴らしい眺めである。千葉に山がないなんて、とんだ誤解である。

弁当で腹が膨れ、ザックが軽くなったところで、出発。石射太郎には大きな一枚岩があるが、危険なためロープが張られている。一枚岩の反対側を登って、先へ進む。ここにあるのが松高山林組合の解散記念碑。どんな経緯で解散したかは不明だが、山林組合も解散するほどの山深い地なのだろう。

ルートに見える石射太郎の雄姿

この先も道はしっかりとしていて、不安はない。道は岩盤の上にあり、傾斜の強い場所にはステップが切ってある。滑り止めの溝もあるから、配慮は十分なのだ。

しばらく歩くと、「危険」の標識があって、トラロープが張られている。切り立った崖で、なるほど危険である。ここで下を覗(のぞ)き込む。垂直というよりオーバーハングに近いだろう。さらに進むと、左後方に石射太郎の姿が見える場所になる。大きな岩が目立つ山でなるほど、「石、射たろう」である。

ステップの切ってある岩盤の道を進む。雨上がりで下は湿っているが、注意して歩けば滑ることもない。「長尾国有林」の看板をそのまま進むと、標識「高宕山0・6KM」になる。この先に三日月形の巨大な岩があって、ここが高宕観音の入り口だった。

(つづく)

【写真説明】石射太郎山頂近くの石宮

【写真説明】ルートに見える石射太郎の雄姿

10年11月13日 20,113
Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved