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笹郷山の三角点

[第10回] 尾崎分岐へ

広い岩テラスで弁当に

笹郷山からの下りは急である。標高は低いが、侮ってはいけない。急な下りこそ、転落の危険性がある。ロープはないが、杖を頼りに慎重に降りる。ルート左側にカノコの木があって、樹皮が鹿の子の肌のようにはがれている。このカノコにはセミの抜け殻があって、今年の暑かった夏を物語る。周囲には紅葉の始まった樹があるのに、足元には夏の余韻が残る。

5分ほどで、笹郷山のピークを避ける巻き道と合流する。

途中、大きな岩があっていく手を阻む。左に巻いていくと、やがて大きな岩テラスになる。ここで正午。昼食である。川崎さん「ここで昼になるのがベストなんです」。

広い岩テラスで、弁当を広げる。上空にひっきりなしに飛ぶジェット機の音が気になるが、眺めは最高である。遥か南に郡界尾根が連なり、鋸南・鴨川・富津境の津森山の頂も確認できる。

視界の中に電柱や鉄塔、建物などの人工物は一切ない。したたる緑が一部は萌える紅葉となり、絶好の食事場所である。

同行の女性陣から、手づくりのおかずが回ってくる。ひじきの煮物、しょうがの煮たの、煮卵……。平地にいてもなかなか食べられない料理が、この300b近い山で食べられる。そんな幸せを握り飯とともに、かみしめる。世俗を忘れる、それがまた山の楽しみなのだ。

仲間とひとしきり山談義をしながら、食事と眺めを楽しんだ後、出発。

ここからはしばらく下り勾配が続く。ルート途中に北に開けた場所があって、ここから八郎塚の大きな姿が良く見える。さっき登った笹郷山のとんがりも確認できた。

空中の岩テラスで昼食に

さらに進むと、今度は鹿野山までの連なりが見える場所に出る。手前から笹郷山、高宕山、石射太郎と連なり、最後に巨大な鹿野山が座る。鹿野山左手には、赤いワンポイントが見える。これがマザー牧場のサルビアである。

急登の先のピークに、図根点の石柱がある。国土調査の基準点だ。この先に「尾崎」(おざいと読む)の分岐看板がある。東側に尾根を降りれば、君津市豊英の尾崎である。一行はさらに南下する。

(つづく)

【写真説明】笹郷山の三角点

【写真説明】空中の岩テラスで昼食に

10年11月20日 21,299
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