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クスの大木の前にたたずむ

[第12回] 釜沼へ

健脚ぞろい 速いペース

三郡山頂で小休止。時刻は午後2時30分。健脚ぞろいなので、予想外に速いペースである。女性陣も音をあげるどころか、余裕で冗談を交し合っている。

ほの暗い杉林の中を西側に降りる。山頂からは緩い勾配になっていて、途中からは杉木の階段も出るので、安心して下っていく。

5分ほどで、林道大山線に出る。郡界尾根を東西に走るフラットな林道で、轍(わだち)の跡も残る。

一行は横に広がり、山談義をしながら談笑して歩く。轍はあっても通るクルマはない。平日のハイクなのだ。

そのまま林道を進めば、宇藤木大山(標高347・9b)になるが、今回は途中手前を南に下る。

目印はガードレールの切れ目と、立木にある赤テープ。標識などないので、案内がなければ危険だ。

落ち葉の積もった泥の下り勾配を降りる。時折、水が出るような道で、イノシシのヌタ場もある。郡界尾根と里を結ぶ赤道のようで、時折、赤いプラスチック杭が出てくる。等間隔の杭なので、国土調査の結果だろう。

人里の電柵に出る

ルート途中の崖に、3つの石が置かれていた。ひとつはひょうたん型の手水鉢、もうひとつは馬頭観音、残りが大日如来と彫られている。もう参拝する人もいないのだろう。地元の人もこの石宮を忘れているのかもしれない。その証拠に手水鉢は傾き、見る影もない。

そのまま下ると、クスの大木が出る。特徴的な木肌で、人知れずこの山中で根を張っているのだ。樹木医の齊藤さんが、クスの葉の特徴を教えてくれた。

どんどん下ると、左手下に民家が見えた。佐野字五反目の集落であろう。やがて有害鳥獣除けの長い通電フェンスが出て、これにそって歩くようになる。正面に嶺岡愛宕山のレーダーサイトが見える。もうここまで下ったのだ。

道はやがてコンクリートとなり、いくつか立派なつくりの農家が点在する。豊かな土地なのだろう。農家はみな蔵がある。浄土宗阿弥陀寺を左に過ぎると、農家の庭先から声がかかる。「どこ行ったの」。答えて「この上の山です」。まさか君津の豊英から歩いてきたといっても信じてくれまい。

長狭街道へ出て、とめてあったクルマに戻る。午後4時。1日6時間半、都合13時間のロングハイクが終わった。

◇ ◇ ◇

関東ふれあいの道は、環境省整備のハイキングコースです。本連載のうち、石射太郎―高宕山―八郎塚間がそのルートで、道標もしっかりしています。秋も深まり、千葉は絶好のハイキングシーズン。家族そろって出かけてはいかがでしょうか。地図や装備をそろえ、自己責任のうえ、複数でお出かけください。

(忍足利彦)

【写真説明】クスの大木の前にたたずむ

【写真説明】人里の電柵に出る

10年11月23日 22,260
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