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林道途中から見た鋸山

D林道金谷線

鋸山にはいくつかの登山道のほか、車両も通れる林道も走る。地図で見ると、富津市金谷から山に入り、山頂を中心にぐるっと回って鋸南町元名まで、弧を描くようなコースが設定されている。純粋な山歩きの道ではないが、比較的フラットで道幅のあるルート。今回はこの林道ルートを歩いた。

正式名称は「林道南房総金谷元名線」で総延長は8095b。富津・鋸南の境を峠に、両市町にまたがる県内屈指の林道である。

JR金谷駅からスタート。駅舎に掲げてある駅名看板が、鋸山デザインになっている。JRもしゃれたことをするものだ。市街地を歩いて金谷踏切を渡る。正面が真言宗智山派の名刹、金華山華蔵院。小林一茶が逗留した寺院である。しばらく行くと、道端の男性が「山へ行くようだが、ルートが違っていないか」と声をかけてくれる。林道ルートを登る人は珍しいのだろう。事情を説明して別れる。

富津館山道路の金谷IC手前で、またも男性から声をかけられる。金谷の人は親切なのだ。

右手に工務店を過ぎると、山道に分け入る場所になる。正式な林道口は、トンネルを越えた先から入るのだが、ここは古道で雰囲気のある道なのだ。

岩肌にステップが切ってある。マテバシイ純林の中に巨岩があり、穿って穴がある。すでに信仰対象物はないが、かつては何かの信仰の場だったのだろう。もうすでに誰も歩かなくなった山道を15分ほど歩くと、ごみが散乱する場所になる。近くにカゴノキ(カノコの木)があって、樹肌が美しいだけに残念である。この上が林道金谷線だった。

林道に上がると分かるが、この場所だけ樹木がなく、林道からごみを投棄しやすくなっている。心無い人はこういう場所からごみを投げるものなのだ。

林道へ出れば、ルンルン気分の道。15分ほどで富津館山道路の真上に出る。ここからの鋸山の眺めが秀逸で、石切り場の跡の岩肌が正面に座る。鋸南側の眺めもいいが、富津側も美しい。これほど姿のいい山は、千葉県では珍しいだろう。

林道は適度なアップダウン、左右のカーブを繰り返しながら、徐々に高度を上げて行く。路面はコンクリートだったり、砕石だったり。轍(わだち)もあるが、それほど頻繁に車両は通行していない。全体的に快適な林道である。

ルート途中にある「天国のぞき」

金谷駅から1時間20分で林道竹岡線との合流点に。ここで小休止。左に折れれば、大沢経由で竹岡に出るルート。今回は右に折れる。

林道は両側に樹木が茂って、眺めは良くない。合流点から10分で、左側に薄い岩肌が残った壁になる。壁の一部がW字型に切れていて、この低い場所から下を眺めたくなる。鋸山の地獄のぞきの反対で、壁の向こうに何かがありそうで、よじ登る。この場所を人呼んで「天国のぞき」。のぞいた先は緑の濃い原生林である。

天国のぞきから10分で西側が開けた場所になる。ここから三浦半島の三本煙突が良く見える。東電横須賀火力である。視界の左に鋸山の東の肩が見える。うっそうと茂る緑が目に飛び込んでくる。

ここから左にカーブを曲がって緩く上ると、その先が広くなっている。ここが林道の峠で、富津・鋸南の市町境だ。林道は平成9年に完成。当時の沼田武知事の揮毫による開通記念碑がある。

※山中にはマムシやスズメバチなど、生命にかかわる生物がいます。十分気をつけてください。

【写真説明】林道途中から見た鋸山

【写真説明】ルート途中にある「天国のぞき」

12年8月11日 10,809
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