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巨大な吹き抜け洞窟

G壁際コース

林道を含めて7本の登山道を書いてきたが、もうひとつ興味深いルートを紹介しよう。

とはいえ、ガレ場もロープ場もある荒れた難コースで、上級者向けだ。道標もなく、ビニールテープを頼りに登るような難所である。実際にマムシも確認されているので、一般の人は立ち入らないほうがいいだろう。

コースは車力道から上り、石切りの絶壁の手前を東に向かう。絶壁の壁際まで歩いて、旧テレビ塔の西側尾根に出る。尾根に出れば、そのまま関東ふれあいの道だが、車力道から尾根までのルートがこの壁際コースである。

金谷の街を歩いて出発。車力道に取り付く。ここまでで20分。車力道は石畳の快適なルートで、展望のきく場所で一度休憩しただけで、鼻歌気分で登っていく。

ルートの右側に、細い切割がある。この切割の先が、関東ふれあいの道の石切り場跡近くのルートである。すぐそこに手が届く位置にあるが、ここへは行かない。

この切割の反対側(左側)を谷に下りるような感じで細い踏み跡がある。これが壁際コースの入り口だ。ここから先は非常に危険なので、くどいようだが一般の人は遠慮したほうがいいだろう。

切り出した石が、あちこちに転がり、歩くのも難儀する場所だ。案内の川崎勝丸さんも慎重に歩く。やがて途中に金谷石が組まれた場所がある。基礎が少し高くなっている。ここが石切職人の寝泊りした小屋の跡だという。

車力道から10分ほどで、驚きの光景が出る。

垂直にロープを登る

岩肌に大きな穴が開いていて、ここをくぐるのだという。吹き抜け洞窟と呼ばれる「鋸の穴くぐり」である。穴は幅5b、高さは10bほどか。奥行きは5bほどある。石切り場の境界を通り抜ける穴か。落石があって、穴の入り口に岩が立ちはだかる。ここをよじ登って、穴の向こう側に出る。

穴くぐりを過ぎ、いくつかのアップダウンをいくと、やがて小高い部分に、家紋のようなマークが入った石祠が出る。石切り職人たちの信仰の対象だろうか。

この先が切割になっていて、ここに長いロープが据えられている。ほぼ垂直の崖をロープ頼りで慎重に下りていく。下りた先、岩壁に向かってカーブ状に掘った切割があって、その中にマムシがいた。川崎さんが決死の表情でマムシを処分し、その先へ進む。ここが崖の直下である。

カーブの切割を戻り、さらに東に進む。垂直崖にまたもロープが下がっていて、ここを三点確保で慎重に登る。岩登りもある難ルートなのである。登った先に北側が見える高台があり、ここで小休止。

この先は、切り立った岩壁に階段が刻んであるようなルートが続く。

金谷側の石切り場は、いくつもの石材商が差配していて、それぞれの石切り場に名前がある。コンサートが開かれる石切り場跡は「帆掛丁場」というように。この壁際ルートは、複数の石切り場をトラバース(横断)するルートなのである。

苔むす階段に注意しながら、上を目指す。最後はきつい上りで、ここを越えると尾根になる。尾根上に炭焼き窯の跡がある。ここをもう一段登ると、関東ふれあい道である。

※山中にはマムシやスズメバチなど、生命にかかわる生物がいます。十分気をつけてください。

【写真説明】巨大な吹き抜け洞窟

【写真説明】垂直にロープを登る

12年9月3日 9,144
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