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鋸山の一等三角点

H三角点と菱形基線測点

登山愛好家、ハイキング愛好家にとって、三角点は特別な存在だろう。犬も歩けば棒に当たる、ハイカーが歩けば三角点に当たるのである。

三角点は、国土地理院が設置する三角測量の基点である。三角形の一辺の距離と二角の角度を知ることにより、他の二辺の距離を計算で求めることが出来る。これが三角測量である。現在はGPS(全地球測位)で正確な地点が求められるが、明治以降、正確な地図をつくるため、全国を三角測量して、三角点が置かれていった。視界のいい測量点が求められるため、目立つ山頂に置かれたのである。

その三角点には一等から五等までのランクがある。一等は約40`ごと、二等は約8`ごと、三等は約4`ごとに設置された。一等三角点は全国に約1000。房州には4つしかない。すわわち、鋸山、房の大山(館山市)、高塚山(南房総市)、嶺岡浅間(鴨川市)である。

40`ごとだから、房の大山―嶺岡浅間間で80`。計算上も安房には4つで済む。その4つしかない一等三角点が鋸山にある。

一等というだけあって、三角点標柱には風格がある。一辺が18aの花崗岩製で、南側に横書きで「一等」の文字。その下に縦書きで「三角點」。鋸山のそれは動いたりしないよう、コンクリートで固められている。二等、三等は15a角、四等は12a角だから、やはり一等は別格なのである。

八角柱の菱形基線測点

鋸山頂には、この一等三角点の東隣に「菱形基線測点」が鎮座する。聞きなれぬ名称だが、これは地表の歪みを知るために設置されたもので、4つの観測点が菱形を形成していることからの命名である。全国に16か所設置されていて、千葉県には人見(君津市)、小糸(同)、大坪山(富津市)と鋸山を結ぶ菱形が形成される。

国土地理院では、この測点間をセンチ単位で測定し続け、地震予知のデータとしているのである。

三角点に比べて数倍立派である。大きな八角柱で、上面中央に鋲が打たれ、側面に菱形基線測点の銘板。

山頂には環境省と千葉県による看板があり、この地点が「千葉県で12番目の高さ」「山全体が堆積岩(凝灰岩)でできている」などの説明があるが、三角点の解説などはない。せめてこの三角点が一等であること、菱形基線測点が地形の歪を見張っていることを書いてくれれば、と思う。

三角点は四角柱で、菱形基線測点は八角柱。山頂で三角点の話をしても「あら三角じゃないのね」という返事があることも。山の楽しみは多岐にわたるが、三角点めぐりも楽しいものだ。

山頂に立って、石の標柱を見かけたら、何等の三角点か、側面を見て思いをはせるのもいいだろう。

※山中にはマムシやスズメバチなど、生命にかかわる生物がいます。十分気をつけてください。

【写真説明】鋸山の一等三角点

【写真説明】八角柱の菱形基線測点

12年9月8日 10,317
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