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日本国民にとり、NHKの連続テレビ小説や大河ドラマは日常生活において欠くことのできないものになっているように感じます。

この2つの番組の撮影舞台になるとその地域が突然脚光を浴びて、一躍、観光地に早変わりします。

私の学生時代、大河ドラマで斎藤道三が扱われたことがありました。実は、私の住んでいた木造2階建ての、汲(く)み取り式トイレのアパートの近くに「道三塚」があったのですが、このドラマが放映されるまでそのアパートの住民は誰もその道三塚の存在を意識していませんでした。ところが、番組が始まると、観光バスが私たちの住んでいた、壊れそうなアパートの周りに頻繁に来るようになり、アパートの出入り口を塞ぐことも起こるようになり困ったものでした。それまでまったく近隣住民が意識していなかった岐阜市内のお寺も、道三縁の寺院として、観光地に変身しました。もう50年近く前のことですが、あの時はNHKの影響力の大きさをまざまざと見せつけられた思いがいたしました。

岐阜県恵那市は、昨年4〜9月にNHKで放送された連続テレビ小説「半分、青い。」に伴う、ロケ地の岩村町の城下町商店街を中心とした経済効果を発表しました。岩村町はドラマに登場した架空の町「東美濃市ふくろう町」のロケ地となり、前年比で約5倍の観光客が訪れ、ドラマで人気が出た「五平餅」の売り上げ上昇にもつながったと報道されています。

この番組では、主人公が私と同じく、片側性の聴力障害のある人でした。私が普段、障害のある右方から話しかけられても反応せず、声が聞こえた左方をまず見るという現象を、ドラマ内の主人公を通して番組内で分かりやすく紹介してくれたので、私の普段の行動パターンを多くの方々にご理解いただけるようになり、助かりました。NHKの絶大な効果の恩恵を受けたと言えます。

ちなみに私の聴力障害の原因は、53歳時に発症した脳腫瘍(聴神経腫瘍)およびそれに対して行った放射線治療の後遺症(放射線障害)です。今さら治療のしようがありませんので、このまま共存していくしかありません。読者の皆様は、私に話しかけるときは私の左方から話しかけていただけますよう、お願いいたします。右耳は、耳掃除をしてもまったく、ゴソゴソ感がありません。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

1月28日20時00分 370
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