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教育問題の壁

本紙の読者の皆さまは、私が20年間を過した鴨川と亀田総合病院をいかに愛しているかをよくご理解してくださっていると思います。

私が20年の間に育てた弟子たちも、今は大変立派になり、各方面、外国も含めて、各地で活躍していて、それが高齢になってきた私の生きがい、支えであり、自慢です。

最近出版された「東洋経済」の全国各地の病院についての報道を見ますと、病院の売上高(収益)をみれば、相変わらず亀田総合病院は上位に入っていますが、ショックなことに、利益率がゼロと書かれていました。これが何を意味するのか、分析の仕方を専門家にお聞きしないといけませんが、寂しい数値でした。地域の少子高齢化によって、患者数が減っていく可能性も指摘されていました。ボーナスを削減した話も載っていて、参りました。

さっそく、今は遠方にいる弟子の1人から心配する電話が来ました。私は「今も営業しているし、給料も払えているから、そんなに心配する必要はないだろう。昔も、危ないと言われたことが何度もあったし、危ないと言われながらも、良い医療を提供してきたのが亀田だから、これからもなんとかやっていけると思うよ」と答えました。

現在では立派に育った弟子たちにいつも言うのは、皆、立派になったのだから、そのうち故郷へ帰って後輩の教育にも関与してほしい、ということです。

しかし、そんな中で、つねに問題となるのが、彼ら、彼女らの子どもの教育の問題です。

私は20年間も鴨川にいたのだから、君たちも大丈夫だろうというと、加納先生のように子育てをすべて奥さんに押しつけて、自分は仕事だけしていたことを許された人は希有な例ですよ。今どきそんなことをしたら、即、離婚ですよ、と叱られます。

亀田兄弟だって、自分たちは中学から東京にいたのに、従業員たちには鴨川生活を強いるのはおかしい、とも反論されます。

東京にいなくて、鴨川の公立高校から国立大学医学部へ進んだ人もいる、という例も話すのですが、あまりにもまれな例で、なかなか納得してもらえません。最近まで亀田で活躍してくれていた某医師も、子どもの教育のために首都圏への移住を決めてしまいました。

本当に難しい問題です。

地元の公立進学高校は、マグネットハイスクールになれるように、さらに努力をお願い申し上げます。鴨川市が行っている小中一貫校の試みの成果が楽しみです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。亀田総合病院 特命副院長、主任外科部長、内視鏡下手術手術センター長、安房地域医療センター顧問、帝京大学医学部外科学客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

3月12日20時00分 723
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