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古くから芸能人の薬物犯罪はよく報道されてきたことですので、今さら聞いて驚くことではありませんが、最近のピエール瀧さんの事件では、彼が出演した映画やドラマの上映が相次いで中止されることになり、そこまでする必要はないのではないかという意見も出て来て、これをまたマスコミも報道するようになったため、世間の注目を浴びています。

先日なくなった萩原健太郎さん(ショーケン)も優れた歌手であり、俳優でしたが、薬物犯罪を繰り返してきたことでもファンの記憶に残っている芸能人の1人でしょう。

私は若い時からの彼の歌手として、俳優としての仕事ぶりに感心していたのですが、ファンの夢を破るような薬物犯罪を繰り返してきたので、その度に私はガッカリし、腹立たしい思いをしてきました。彼がまた逮捕されたというニュースを聞く度に、本当に芸能人はどうしようもない奴らだ、と芸能界の人たち全体に対して不信感を抱くようになったものでした。

ピエール瀧さんの出演作を振り返ると、ほんとうに地味な役を上手く演じており、主役ではなくても存在感を感じさせる演技でした。

そんな彼の活躍ぶりを見るにつけ、薬物犯罪という罪をおこしているので、罰は受けてもらう必要はありますが、これまで彼が出演した作品までも上映禁止にしなくてもよいのではないかと私は思ってしまいます。

映画やドラマは、これ1人で完成したものではなく、多くの関係者の共同作品ですので、作品は作品として評価してやってもよいのではないかと思ってしまうのです。私などがいくら考えても正解は見つからないでしょうが、毎日新聞も指摘しているように、「罪状や行為が行われた状況といった個々の事案と、作品を切り分けて評価する社会的な度量の大きさがあっていいのではないか」と思うのですが、甘すぎるでしょうか。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

4月1日20時00分 676
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