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2019年4月9日の日本経済新聞の社説に「ルワンダの『奇跡』継続を」という表題のものが載りました。

私はうっかりしていて、ルワンダで、部族間の対立から大虐殺が起こった悲劇をほとんど意識しないようになっていました。大問題となって報道されたころは、どうしてこんなひどいことが行われてしまったのか、と心を痛めていたのに、これを最近忘れていたなんて、自分はなんと冷たい人間だったことかと恥ずかしくなりました。ひょっとしたら、2回の脳出血で引き起こされた自分の脳の障害が自分で思っていた以上にひどかったのかもしれない、と不安にもなりました。

東アフリカのルワンダであの大虐殺が起きて25年がたつのですね。当時、わずか100日で人口の1割超の80万人以上が殺害されたという報道に接し、何とかしなければいけないが、いったい自分には何かできることがあるのか、と悩んだ記憶があります。

ところが、このルワンダがその後、大きく変貌したことを今回の日経の社説は教えてくれました。現在はアフリカで最も治安が良く、経済成長が目覚ましい国のひとつに変貌したと報じられていたのですが、信じられない思いです。世界で紛争や暴力が絶えない今、「奇跡」とも呼ばれるその歩みには学ぶべき点があると同紙も指摘しています。

悲惨な状態になった国家が立派に立ち直った例と言えば、第2次世界大戦後の日本とドイツが好例と言えるでしょう。

また、私が外国へ手術を教えに行くようになった1990年代前半のインドも当時はかなり貧しい国のひとつに挙げられていましたが、その後、急速な経済発展を遂げ、日本は負けてしまったかと思わざるを得ない状況にさえなりました。

中国に関しても同じ印象を持ったことがあります。

世界の多くの国家の歴史、変遷をみると、いつまでも固定観念を持っていては大きな間違いを犯す可能性があることをしっかり認識しておかなくてはいけないと、あらためて思いました。

ルワンダの安定した成長が続くことを強く祈ります。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

19年4月23日 760
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