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マラソンランナー高橋尚子は、私と同じ岐阜県生まれということもあって、これまで常に応援し、彼女のことを心配してきました。

先日、テレビをつけたら偶然、彼女が出演している番組をやっていました。これまでの高橋選手の歴史が語られていました。彼女は決して高校時代から注目されていたわけではなかったのです。また社会人として小出監督率いるリクルート社へ入ったときも、中距離ランナーとしての参加であり、まだ長距離ランナーでもなかったのです。

28歳でオリンピックで優勝するまでの道程は通常の選手よりもかなり長いものであったと言えます。

この番組を見ることにより、高校時代の恩師が立派な指導者であったこともよくわかりました。有名な小出監督の教育方法も大変印象深いものです。この2人の師匠は、高橋選手の才能をうまく引きだしつつ、無名の選手をオリンピック金メダリストにまで育てあげたと言えます。もちろん、彼女自身に才能があり、人並み外れた努力をした結果ですが、この2人の恩師の、高橋選手をうまく乗せて才能を引きだし成長させていく過程は、若い人を育てるのを仕事としている私には大変、感動的なものでした。

この番組を通して、人を育てる仕事では、短期間でその人を判断してしまってはいけないということを改めて実感いたしました。高校時代も学生時代も全く目だった活躍のなかった選手が、25歳にしてはじめて脚光を浴び、その3年後にオリンピックで優勝したというのは、大変教訓的なお話で、多くの人を力付けてくれるものと思います。

現在35歳で年齢的にはかなり厳しい段階に来ていますが、高橋尚子選手がこれからも精進し、人間として若い人達の手本となるような生き方をしていってくれるよう祈っています。

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加納宣康 昭和24年8月4日岐阜県生まれ。現在、亀田総合病院特命院長補佐、主任外科部長、内視鏡下手術センター長、マハトマ・ガンジー・メモリアル医科大学名誉客員教授、帝京大学医学部外科学客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

07年7月23日 47,637
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