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22日は、衆議院第一議員会館で「日本の医療と医薬品の未来を考える会」の勉強会が開催されたので、出席してきました。

今回のテーマは子宮頸癌(がん)ワクチン(HPVワクチン)について考えるというものでした。

国会議員団から三ツ林裕巳衆議院議員、大岡敏孝衆議院議員、原田義昭元環境大臣が出席して意見を述べておられました。

私は、子宮頸癌ワクチンについては、厚生労働省からも接種を推奨されていたものと理解して、自分の子どもたちにも接種を受けさせてきましたが、その後、新聞報道、テレビ放送でもその副作用がセンセーショナルに扱われ、その強烈な影響を受けて、厚生労働省も「勧奨」から外す決定をしてしまいました。

しかし、その後、わが国における子宮頸癌患者および死亡者数の増加が注目される数値に達したことが、日本産婦人科学会でも認められるようになり、国会議員団もこの問題を看過できなくなりました。

今回の勉強会に出席した3人の国会議員は、この問題を強く認識している議員たちの一部で、ワクチン接種の推奨を推進しようとしているものと理解しました。

世界的にみると、子宮頸癌ワクチンの普及により、この疾患は激減してきているのに、わが国はマスコミ報道に惑わされて、ワクチン接種の「勧奨」を中止してしまったために、いまだに子宮頸癌が減らず、年間2800人もの死亡者を出しいているという事実を再度、明らかにしてくれました。

日本産婦人科学会のホームページを開いて確認すると、以下のような記載が見られます。

現在、世界の80か国以上において、HPVワクチンの国の公費助成によるプログラムが実施されています。なお、海外ではすでに9つの型のHPVの感染を予防し、90%以上の子宮頸癌を予防すると推定されている「9価ワクチン」が接種され始めていますが、日本ではまだ承認されていません。

HPVワクチン接種を国のプログラムとして早期に取り入れたオーストラリア、イギリス、米国、北欧などの国々では、HPV感染や前癌病変の発生が有意に低下していることが報告されています。これらの国々では、ワクチン接種世代と同じ世代でワクチンを接種していない人のHPV感染も低下しています(集団免疫効果といいます)。またフィンランドの報告によると、HPVに関連して発生する浸潤癌が、ワクチンを接種した人たちにおいては全く発生していないとされています。

最近の報告では、HPVワクチンと子宮頸癌検診が最も成功しているオーストラリアでは2028年に、世界に先駆けて新規の子宮頸癌患者はほぼいなくなるとのシミュレーションがなされました。世界全体でもHPVワクチンと検診を適切に組み合わせることで今世紀中の排除が可能であるとのシミュレーションがなされました。日本においてこのままHPVワクチンの接種が進まない状況が今後も改善しないと、子宮頸癌の予防において世界の流れから大きく取り残される懸念があります。

今回の勉強会に出席していた国会議員の皆さんには、厚生労働省の動きが遅すぎると感じているのなら、政治家として、政治の力で、現在の間違った現状を修正するように迅速に行動してくださるように求めます。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院名誉院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

1月27日20時00分 871

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