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最近は日本でも働く女性が増えてきて、堂々と活躍している人も珍しくなくなったと思っていましたが、2020年2月27日付の毎日新聞を読んで、まだまだ不十分であることを痛感いたしました。

同紙は、国連で日本人としてトップの事務次長(軍縮担当上級代表)を務める中満泉さん(57)へのインタビュー記事を掲載しました。同氏は1989年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入って以降、人道支援分野や安全保障分野などでキャリアを積み重ねてきました。スウェーデン人で外交官の夫とともに、2人の娘を育てる母親でもあります。そんな中満さんに、海外から見た日本のジェンダー問題についての考えを聞いた内容を報告したもので、記事の表題は、「『いかに異常か気づいてほしい』中満泉・国連事務次長が海外から見た日本の現状」というものでした。まだまだ私の頭が遅れていることを指摘する内容で、大変、勉強になりました。

氏は、誰もが性別に関わらず平等に機会を与えられるジェンダー平等は、世界の常識と強調し、女性活躍の例も挙げて説明しました。

例えば、紛争など国連が関わる分野では、女性がテーブルについて交渉した和平合意は、男性だけで交渉した和平合意に比べ、15年間持続する可能性が35%高まるという研究結果があります。

企業の人に身近なデータもあります。(コンサルティング大手の)マッキンゼーが2017年に出した報告書では、経営陣に女性がいる会社は、そうでない会社よりも営業利益率が高いという結果が出ています。消費者の半数は女性ですから、そのニーズをよく分かっている人が入ることで業績が上がるのは当然です。ジェンダー平等がいろんな意味でプラスだというのは議論の余地がなく、データで示されているのです。

では、「なぜ日本ではジェンダー平等が進まないのか」と問われると、(国連トップの)グテレス事務総長の言葉を引用、紹介しました。事務総長は、ジェンダーの問題はパワーの問題、権力の問題だと言っています。

さらに、日本ではこれまでほぼ100%、いろんな地位を男性が独占してきました。それを女性とシェアするとなると、当然、男性側から抵抗が出てくる。つまり、既得権益の問題なのです、と述べました。

これらの話を聞くと、われわれ男性側の努力不足が厳しく指摘されたのを認めざるを得ません。私自身、反省しなくてはなりません。中満さんが、ここまで活躍してこられたのは、夫が日本人でなかったことも要因のひとつかもしれません。私自身、気付いていないうちに、有能な女性の才能をつぶしてきた大罪人かもしれません。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院名誉院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

3月2日20時00分 612

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