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ある程度厳しい法案も認めたい

共同通信社が3月11日に伝えたところによりますと、新型コロナウイルス感染症による死者が、中国湖北省武漢市で初めて確認されてから11日で2か月となりましたが、この間、感染は中国をはじめ世界五大陸の113の国・地域に広がり、死者は4000人を超えたとのこと。当初は中国武漢市および湖北省辺りに限局した問題かと思われましたが、とんでもない結果になりつつあります。

新規感染者は中国で抑制気味になる一方で、各国では急増しつつあります。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は10日、米国で累計1004人に達したと報じました。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「パンデミック(世界的大流行)の脅威が現実味を帯びてきた」と言及するに至りました。渡航制限や外出・集会の禁止や自粛が行われ、日常生活への影響は広がるばかりです。

中国がこの問題で大変になったころ、米国ではインフルエンザによる死者数が急激に増加し、この方が大問題として報じられたように私は記憶しています。しかし、今や米国も新型コロナウイルス問題に真剣に取り組まざるを得なくなりました。

10日付のWHOの状況報告によりますと、死者は4012人。感染者総数は11万3702人で、約7割の8万754人は中国本土に集中しています。中国以外ではイタリア9172人、韓国7513人、イラン7161人の3か国が突出して多いとのこと。

WHOは1月30日に、最高度の警戒を呼び掛ける緊急事態宣言に踏み切ったのでしたが、この時点では感染が確認されていたのは22の国・地域にとどまっており、中国本土外での感染者も約100人にすぎなかったのです。

しかし、その後、中国での爆発的な感染者増加を経て、2月26日、WHOの同日付集計で初めて、中国外での新規感染者の数が、中国本土を上回ったことを認め、これを受けて同月28日、WHOは世界全体の危険性評価を中国と同じ「非常に高い」に引き上げ、世界的な流行を認定したのでした。

以後、中国では武漢を除いては終息の気配すら漂う中ですが、世界各地では感染拡大が止まらない状況です。

わが国でも安倍首相がこの疾患の終息に向けた行動を起こすことをアピールし始めました。全国の学校に休校を要請したり、集会の制限を訴えたりしています。当初は「要請」でしたが、事態が深刻化したため、衆院は3月11日、新型コロナウイルス感染症対策で私的権利の制限を伴う「緊急事態宣言」を可能とする政府の法案を可決しました。

いろいろと批判はありますが、爆発的流行が起き、重症者も増える最悪の事態への備えとして必要な決定だったと私は思っています。もちろん、運用には慎重を期してほしいと思っています。軽率な行動、言動で、これ以上、国会が紛糾してはなりません。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。千葉徳洲会病院名誉院長

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

3月16日20時00分 709

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