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感染爆発に備えた態勢を

新型コロナウイルスによる肺炎の問題は、当初、中国、それも湖北省近辺に限局した問題かと思われましたが、その感染拡大が止まらない状況が続き、今や世界中の大問題となりました。

政府は「今は緊急事態宣言を出す段階にない」との判断を示していると言われていますが、今後の状況次第では早急に再検討が必要となるだろうと思われます。

日本医師会は政府よりもかなり厳しい見方を発表していますが、私はその見方が当たっているのではないかと感じています。早めに対応を進めるために、今、緊急事態宣言を出して悪いことはないと思えるのです。私は、中国政府の武漢封鎖政策は間違っていなかったのではないかと思っています。

日本中、世界中の問題でありますが、東京オリンピックとの関連もあって、一つの鍵を握るのが東京都の状況だと言って良いでしょう。小池百合子都知事の記者会見では、政府のクラスター対策を担う専門家が「感染者の指数関数的増加の兆候はあるが、爆発的増加でない」との分析を示したとのこと。

引き続き、専門家は感染爆発の兆候を見極める指標を検討中ですが、予兆を見逃さないことが大事だと思います。この指標は緊急事態宣言の判断にも影響するものですから、国民が理解し納得しやすい形で示してほしいものです。

一方、医療体制を見ると地域によってはぎりぎりの状況にあると言えるでしょう。3月末の時点で、都内には感染症指定病床が118床あるものの、すでに患者数がこれを上回っていると指摘されています。さらなる患者の増加に伴い、首都圏でのベッド数の不足は深刻になるだろうと推測されます。

小池知事は500床を確保し、今後、4000床まで受け入れを増やすと表明しましたが、それには一般医療機関での患者受け入れが必要で、早急に準備を進める必要があります。それには、自治体はもちろんのこと、民間の医療機関はじめ、全国民の応援が不可欠です。

さらなる患者の増加に対応するには、軽症・無症状の感染者に自宅や宿泊施設で過ごしてもらう必要も出てくるでしょう。そうしなければ重症者の医療が確保できず、医療崩壊につながりかねません。

厚生労働省は、今後は自治体に判断を任せず、早急に明確な方針や具体的なガイダンスを示すべきだと考えます。治療の必要性に応じて入院先や滞在先を振り分ける「大阪方式」も参考になると思われます。

毎日新聞も指摘しているように、ここまで持ちこたえた日本だからこそ、高齢者から若者まで、感染リスクが高い「密閉空間・密集場所・密接な会話」をしっかりと避け、国民の健康と医療を支えたいものです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

4月6日20時00分 745

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