企画・エッセイ » 記事詳細

新型コロナウイルスの蔓(まん)延がますます強まっていくようで、本当に世界中が重苦しい雰囲気に包まれています。

諸外国では診断にPCR(polymerase chain reaction)検査が容易になされているのに、わが国では、健康保険が使えるようになったと宣言しながら、実際には、限られた人にしか実施できていません。

多くの人が受検を希望しているのにできていないのは、国として情けないではないかと、忸怩(じくじ)たる思いで見ております。国によってはドラブスルーの形で施行可能だと聞くと、いろいろと理由を並べても、日本では施行数が極少ないことの言い訳をしているだけとしか思えません。

病院によっては、職員が自分は新型コロナウイルスに感染しているような気がするからPCR検査を実施してほしいと申し出ても、必要ない、適応ではない、として受検できない例もあるようです。

現場の医師が検査の適応と考えても、職員が感染していることを知られると困るという経営判断から、実施しないようにしているという話が聞こえてくると、本当に悲しくなります。

先日、院内感染がおきてマスコミにも報道された医療機関の中には、同様なことが起きていたとニュースになっていました。これを根も葉もない噂(うわさ)だとはねつけたいなら、希望する職員には受検可能な態勢をつくっておくべきだと思ってきました。

今回、私が入職した総合南東北病院では、感染が拡大している地域からの入職者は、院内感染予防の観点からPCR検査を今後行うことを検討しています。

私はこのような進歩的な考え方をするところへ入職できて、本当に良かったと思いました。病院の負担が大変でしょうね、と聞くと、「院内感染を防ぐために必要な投資と考えています」と答えが返ってきました。

院内感染を防ぐためには、少なくとも医療機関では職員の拒否がなければ、全員がPCR検査を受けられるようにしなければならないと私は思っています。ここまで感染者数、死亡者数が増えてしまったのですから、一般国民が気軽に検査を受けられる態勢を国は整える必要があります。

* * *

加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

4月20日20時00分 846

各ページに掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁じます。著作権は房日新聞社または情報提供者に属します。

Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved