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新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)が収まらず、国会での与野党の質疑応酬が激しいのは分かるものの、いったいどれだけ価値のある討論ができているのか、疑問を持ちながらニュース番組を見ている私です。

私は、知識も理解力も乏しいためか、安倍首相や西村大臣の答弁を聞いていると、「皆、よくこれだけ勉強して、現状を把握し、しっかりと対策を講じているではないか」と感心してしまいます。こんなに単純に政治家を褒めてしまう私を見て、本当に単純で、騙(だま)されやすいお人よし、と非難される人も多いだろう、とも覚悟しています。

必死に答弁している大臣たちを見て、そのあとに質問に立つ野党議員の意見を聞いて、聞くに値する内容だと思うことも多く、勉強になるなあ、とありがたく思います。

しかし、時にはどう見ても、質問のための質問をしているだけではないか、とか、どこかで揚げ足をとろうと狙っているな、と感じられることもあり、やり切れない思いにさせられます。これは、政治家の記者会見で記者の質問を聞いていても、同じことを感じることがよくあります。

権力を持った立場に立てば、人から批判されたり、糾弾されたりすることになるのは当然だとは思いますが、私も年を取ったためか、「みんな、一生懸命やっているのだから、そんなに激しく批判ばかりしなくてもよいではないか。もっと褒めるべきところはほめてやったらどうだ」と感じてしまうのです。

政府の示す方針に納得できない各自治体の首長が、独自の政策を示し、これを実行に移す動きも見えてきています。大阪府知事のように若い政治家たちの切れの良い動きには拍手喝采したくなることもあります。

しかし、政府の反論を聞くと、これまた軟弱な私は、なるほど、そういうことも考えなくてはいけないな、と反省させられたり、感心させられたりします。

こうなると自分は大臣のような要職についていなくてよかった、と安堵(あんど)してしまいます。

今、日本は世界は、新型コロナウイルス禍の真っただ中です。

ここから抜け出すために、われわれ一人一人が何をなすべきか、冷静に厳しく考えて行動しなくてはならないと、つくづく思う今日このごろです。人々の努力を素直に評価しつつ、批判する目も失わず、自分に厳しく生きていこうと思っています。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

5月11日20時00分 749

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