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私が外科医として1990年前後に遭遇した腹腔(ふくくう)鏡下手術の大きな波は、外科医療の流れを大きく変えたものであったと思っていますし、自分もその黎明(れいめい)期を支えた一員であったことを誇りに思っています。

その後も腹腔鏡下手術は、胸腔鏡下手術とともに大きく発展し、両者を併せて内視鏡(下)手術として、医療の大きな分野を支えています。

内視鏡下手術の分野でその後の大きな変化、進歩は、何と言っても、いわゆるロボット手術の普及でしょう。正確には「手術支援ロボット」を利用した手術というべきですが、現在では既に「手術ロボット」とか、「ロボット手術」という言葉が普及してしまいましたので、ここではロボット手術という言葉を使わせていただきます。

私が20年間勤務した亀田総合病院から、千葉徳洲会病院へ院長として転出した2016年(4年前)には、すでに泌尿器科領域では前立腺手術の分野でロボット手術が大きく普及し、前立腺がんに対する前立腺摘出術の多くが、ロボット手術で行われる時代に入っていました。当時、まだ医師数不足にあえいでいた千葉徳洲会病院でしたが、幸い手術支援ロボットのダヴィンチが既に入って稼働していたために、東大泌尿器科が泌尿器科医を3人セットで派遣してくれ、多いに助かりました。院長として、病院再建に成功する上で大きな力となってくれました。

千葉徳洲会病院でも泌尿器科以外に、婦人科と外科でもロボット手術を実施していましたが、この4月に総合南東北病院へ赴任してみますと、外科医の多くがすでにロボット手術の施行資格を獲得していて、盛んに高いレベルの外科手術を実施しているのを見て感心しました。

若い外科医たちが、すでに内視鏡外科学会の技術認定医資格を持っているのみならず、ロボット手術施行に必要な資格をも取得していて、内視鏡下手術およびロボット手術が高いレベルで行われていることが分かりました。

このレベルに到達するために、院長、副院長および各部門長のご努力は大変なものであったろうと推測し、敬意を表します。また、この分野での発展を支えてこられた、病院職員一同にも感謝し、今後の応援を心よりお願い申し上げます。

とにかく、現在では内視鏡下手術はもちろんのこと、さらにロボット手術ができる環境、さらにロボット手術の修練ができる環境、条件の構築ができないと、若い外科医たちを、責任を持って教育できない時代になっていると痛感しています。内視鏡下手術が手術支援ロボットの導入により、さらに大きく進化しているのを実感する、きょうこのごろです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

5月25日20時00分 552

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