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今夏の東京オリンピック・パラリンピックが本当に開催できるのかどうか、また開催しても良いのかどうか。コロナ禍が収束しない中では、本当に悩ましい問題です。

私は、新型コロナウイルス感染がコントロールできていない限り、中止あるいは、延期の決断を早期にすべきだと考えています。

菅義偉首相も本当は、そのように感じているものと思いますが、これまでの経緯、自分が置かれた立場から、それを言わせてもらえないので、本当にお気の毒です。

心からご同情申し上げます。

その心中を見透かしたかのように、国内外を問わず、中止の決断を促すようなニュースが飛び交っています。

1月22日、東京発のロイター通信によりますと、タイムズ紙が以下のように報じたとのことですから日本人は驚きました。与党幹部の話として報じたところによると、「日本政府は、新型コロナウイルス感染症流行のため東京五輪を中止せざるを得ないと非公式に結論付けた。政府は2032年五輪の東京招致に照準を合わせるという」というのですから、驚きながらも、やっぱりそうだろうな、と思った日本人も少なくなかったと思います。

同紙はさらに次のように報じています。

「日本は他の多くの先進国ほど新型コロナの打撃が深刻ではなかったが、このところの感染者急増を受け、政府は外国人の入国を原則禁止し、東京など主要都市に緊急事態宣言を再び発令している。最近の世論調査では、選手団の入国による感染拡大への懸念などから、国民の約8割が今夏の五輪開催を望んでいないとの結果が示された。」

タイムズ紙は、こうした世論を背景に、日本政府は将来的な東京五輪開催の可能性を残した上で、今夏の五輪中止を発表することで面目を保つ道を模索していると伝えました。

国内のメディアも同様なニュアンスの報道はしているかもしれませんが、タイムズ紙のような権威あるメディアに指摘されると、真剣に耳を傾けてしまいます。

日本の国会、自治体の議会ではここまでハッキリした主張がなされていないのが不思議だと思っていましたが、とうとう出ました。

共産党が行動に出ました。このことを毎日新聞は、1月26日に「東京オリンピック中止を申し入れ 共産都議団『コロナ対策に集中を』」という見出しで、報じました。

大山とも子都議団長は「全世界が歓迎できる安心安全の大会が本当に開けるのか。この夏の大会はいったん立ち止まり、まずはコロナを収束させるべきだ」と主張しましたが、これは自民党議員にはできない行動だと思いました。

このままコロナ禍が続くどころか、増悪していけば、自民党員からも同様な意見が出るようになるのではないかと感じます。

菅首相も党内外、国内外の意見を集約する形で、これまでの方針を大きく転換できるチャンスを模索しているのではないかと感じますので、私はタイムズ紙にも共産党にも感謝しています。

わが国が抜け出せない深みにはまり込む前に、何とかして適切な行動をしたいものです。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

2月1日20時00分 1,433

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