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こんな表題で自分のエッセイが始まるとは、学生時代の自分を思うと想像もできないことです。

私の学生時代は、まだ学生運動の影響が大きかった時期ですから、「わが祖国日本」などという言葉は怖くて口にできなかったと記憶しています。そんな表現を使って発言をすると、いわゆる過激派と呼ばれる集団から襲われるのではないかという恐怖感がありました。反対に、国粋主義者といわれる人たちの活動もあり、左翼の学生運動家たちはいわゆる「右翼」との対立にも気を使っていたと思います。

さらに、同じ学生運動家たちの中にも派閥があって、派閥間の憎み合い、戦闘は結構恐ろしいと思うことがありました。私の住んでいた下宿の先輩が、反対派に襲われたこともありました。

それぞれ、日本の発展と国民の幸せを目標に行動していたものと思いますが、私のようなノンポリには、もう一つ一緒になれないものがあり、悩んだものでした。

あのころに比べて、今の日本は「総ノンポリ時代」と呼びたい、平和な国だと思って暮らしておりますが、最近は、政治家たちの発言を聞いていると、これから「わが愛する祖国日本」はどこへいくのか? と心配になります。

コロナ禍の中で悲惨な状況がさらに悪化する可能性がある一方で、国際的大事業であるオリンピック・パラリンピックも実施しなくてはなりません。

世界中の人々に期待を持って迎えられつつある新型コロナウイルスワクチンの入手と配布が、日本ではスムーズに行くかどうか、不安があるといわれている中で、オリンピックの準備が大会組織委員会会長の女性蔑視発言で大きく揺らいでいるようでもあります。

オリンピックが本当に実施できるかどうかも分からないところで、複数の政治家の不適切発言には本当に悲しくなります。

元総理大臣で大会組織委員会会長まで務めておられる方(12日に辞意表明)には、首相職を退いた後も発言には慎重になっていただきたいものです。現職の与党幹事長にも、いい加減にしてくれよ、といいたくなります。

政府が「男女共同参画」を掲げて20年以上がたつのに、世界経済フォーラムが公表している「男女の格差指数」で、日本は153か国中121位です。この数値も意識してわが国は進まなくてはなりません。

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加納宣康 昭和24年8月4日、岐阜県生まれ。一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院院長補佐

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

2月15日20時00分 492

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