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佐久間ダムから鉄階段を登る

山中激歩連載【第20回】

(20)中央林道合流から大崩へ

嶺岡山系の尾根を東西に走る中央林道。草も伸びていないし、車も来ないので、鳥のさえずりも大きく聞こえ、快適な道である。木漏れ日の下を歩けば、暑さも感じない。

その平坦な道を東へ向かう。しばらく行くと、路傍に山の神があるという。林道より高い小さなピークがあって、ここをよじ登る。南に向けて平坦部があって、ここに2つの石宮があった。いまでは誰も参拝しないのであろう。その存在すらも忘れられている。南側にはつづら折れの山道があって、南側の集落につづいているのかもしれない。

林道に戻って5分ほどで、北側のグッドビューになる。嵯峨山、スイセンピークが美しく座る。さらに5分ほどで、左側が広くなった場所があり、ここにブロックに囲まれた馬頭観音がある。ここには造花ではあるが花が供えられ、路傍に彩りがある。こちらは誰かが信仰に訪れているのである。

このブロック馬頭観音を目印に林道を下りる。そのまま奥山方面へ北に下っていくのである。急なコンクリートの下りだ。最初の民家が見えるころ、右手に眺望が開ける。奥山の低名山・人骨山(標高292・6メートル)の尖んがりピークが目立つ。その先に津森山が座る。

裏伊予ヶ岳の美しい姿

民家からはどんどん下るコンクリ道。県道外野勝山線へ向かって、道は下る、下る。県道へ出るといったん右の外野方面へ。奥山中央バスステーションを目標に、左へ入る。急なコンクリ上りである。

登って5分ほどすると、民家があって、この手前をさらに登る。急な斜面を行く道で、県道から10分ほどで、小さな峠に出る。峠にはかわいい地蔵があり、平たい石に梵字と丸く線が彫られた「光明真言」石碑がある。

古道はいったん峠を下り、佐久間ダム方面への舗装道になる。しばらくして右に分け入る。ふたたび小さな峠になって、ここからの伊予ヶ岳の姿がまたいい。「裏伊予」とでもいうのか、三角錐のような美しい姿をしている。あの有名な尖んがり岩ピークとは違った女性的な山容なのである。

さらに民家を左に見て、右に分け入る。やぶをこぐような道であるが、しばらく行くと崖の上を歩く。慎重に降りていくと、その先の佐久間ダムの駐車場に出た。

ダムの橋を渡り、観音像の先の鉄階段を登る。滑らないよう、縞(しま)鋼板でつくられている。なんでこんな階段があるのかと不思議だが、この先にしっかりした赤道があるためだ。道はダム建設によって分断されたが、赤道がある以上、上り道が必要だったのだろう。

階段を登り切ると、例の古道然とした道となる。ダムから大崩方面に向かう自動車道路のすぐ上を通る道である。やがてこの道も自動車道路と合流する。

大崩公民館を目指し、集落の道を歩く。不寝見川から大崩公民館まで、4時間半ほどの行程だった。5日目完。

(つづく)

【写真説明】裏伊予ヶ岳の美しい姿

【写真説明】佐久間ダムから鉄階段を登る

07年7月25日 75,888
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