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挫折の向こうに光がみえる

日本社会では少子高齢化の進行に伴い、定年延長が実施されつつあります。

しかし瞬発力を要するスポーツ界では、選手の現役としての活動期間を制度のうえで延長するわけにはいきません。そんな事情の中、最近のプロ野球界では高齢(ベテラン)選手の活躍が目立ち、大変うれしく思っております。

楽天の山崎武司選手は典型例のひとつでしょう。彼は、若いときは中日球団のホームランバッター(1996年にはセリーグのホームラン王)として活躍しましたが、年齢とともに力が衰え、中日からオリックスへ移りましたが、やはり、十分な活躍はできませんでした。そこで2005年に新生球団の楽天へ加入しました。拾ってもらったと言っても過言ではないでしょう。しかし、38歳の今年はご存知のように見ちがえるような活躍で、打撃部門で2冠王の成績で活躍中です。44歳、工藤公康投手の現役としての活動も注目したいところです。

大リーグでは、37歳の齋藤隆投手がやはり目覚ましい活躍をしています。38歳の桑田真澄投手も出場機会を得て注目されています。まだ32歳と若いですが日本の球団を解雇された後に渡米し、今年大リーグのオールスター選手に選ばれた岡島秀樹選手の活躍も多くの人に感動を与えています。

瞬発力を要するスポーツの代表の相撲界でも、今場所は琴光喜の活躍が注目されています。7月21日現在、13勝を挙げて大関昇進を確実にしています。31歳での大関昇進はこれまでの最高齢記録といいます。心から応援したく思います。怪我に気をつけてこれからも好成績をあげてくれるように祈りたくなります。できれば横綱までいってもらいたいものです。

先週取り上げたマラソンの高橋尚子選手も35歳で、これまでの日本の女子マラソン界の例から言えば十分に引退年齢ですが、本人が希望を持って更なる挑戦を続けています。北京を目指して頑張っています。

プロ野球の選手がいくつかの球団を解雇されて、それでも現役を続けるために国内外を問わず再契約の道を探った後に、活躍の場をみつけて頑張っているのはほんとうにうれしく、我々も励まされる思いです。相撲取りが故障のために番付が極端に下がっても、再び力強く幕内にもどり、三役にまで登りつめるのをみるとほんとうにうれしくなります。かつて琴風は順調に関脇まで行って大関候補といわれてから、怪我のために幕下にまで落ちたことがあります。それでも我慢強く努力を重ね、やがて大関にまで昇進しました。

人の一生には予期せぬことがいろいろ起こり得ます。病気や怪我がその典型です。しかしどんなことが起きても、決して諦めず希望を持って努力を続けることが大切だと、自分自身の経験からも実感しています。人間は挫折を経験してこそ強くなり、他人にもやさしくなれるようになり、ほんとうの人生を追求できるようになると思っています。 2007/07/31掲載分

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加納宣康 昭和24年8月4日岐阜県生まれ。現在、亀田総合病院特命院長補佐、主任外科部長、内視鏡下手術センター長、マハトマ・ガンジー・メモリアル医科大学名誉客員教授、帝京大学医学部外科学客員教授

(この原稿は加納医師が、本紙読者のためにボランティアで執筆しています)

07年7月30日 47,715
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