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じんた押しずしの新バージョンを手にする福岡さん=鋸南

地産地消の典型的逸品に

県内で初めて道の駅の「駅弁」として売り出され、現在も根強い人気を誇る鋸南町の「じんた押しずし」に、季節限定で新バージョンが発売された。地元・勝山漁業協同組合が養殖している「江戸前銀鮭(サケ)」をこぶ締めした押しずしを加え、味のバリエーションを広めた。ピザでいえば「ハーフ&ハーフ」で、サケとアジの2つの味が楽しめる。地元漁協と老舗料亭が手を組んだ、地産地消の典型例になる逸品だ。税別1000円。

道の駅弁第1号は、町内の女性グループがワークショップの中で発案。鉄道の駅弁のように道の駅の駅弁があってもいいのではと、提案された。このうちの1人の女性が試作品をつくり、試行錯誤の末、小アジ(地元名・ジンタ)を使って、2008年に押しずしとして売り出した。

その後は夏場限定でトビウオを使った「かっとびずし」も売り出された。さらに2010年にはジンタとトビウオの両方の味が楽しめる「ニコニコセット」も販売された。

いずれも人気が高かったが、諸般の事情で町内の老舗割烹(かっぽう)「なぎさ」(福岡晴一さん経営)に製造が引き継がれた。

老舗の腕前は、その味を一気にバージョンアップ。町内で水揚げされた「釣りジンタ(小さめのアジ)」の魚体を3枚におろし、酢で締めた。白板こぶ巻き、季節の花をあしらうなど、味に変化をつけた押しずしが4切れ。これに店オリジナルの卵焼きを付けた。

ハーフ&ハーフの「じんた押しずし」

この春、この駅弁をさらに発展させたのが、勝山漁協が養殖している江戸前銀鮭の存在だ。淡水で育てた15a前後の稚魚を勝山沖のいけすで育てる。海水温の低い10月から翌年4月ごろまで餌をやり、2`60aぐらいに育った魚が製品化される。水産卸や輸入を手掛ける株式会社西川(本社・勝浦市、齋藤政宏社長)がフィレ(骨のない半身)に加工し、首都圏のホテルなどにブランド「江戸前銀鮭」として流通させている。

外国産の養殖ものに比べて知名度は低いが、首都圏で生産されるサケという付加価値もあって、知る人ぞ知る高級魚になっている。

福岡さんは、このサケを店で地魚握りずしとして客に提供。客からは「養殖ものとは思えない」と評判も上々だった。この地元産サケを弁当に使えないかと試行錯誤し、独自の製法で切り身を3日間ほど熟成させ、ジンタとはまた違う味に仕上げた。サケ、ジンタとも3切れとし、伝統の味・卵焼きも忘れない。

福岡さんによると、全国にはいくつかサケの養殖場があるが、勝山は潮の流れも速く、魚体に余分な脂がなく、回転ずしで提供されるサケとは味が違うという。

海水温の関係で、今シーズンの養殖による生産は終わっている。現在、加工されたフィレを冷蔵している。7月ごろまでは弁当に使える見込みで、季節限定で提供していくという。

道の駅きょなんでの店頭販売もあるが、事前予約が確実。予約は、なぎさ本店(0470―55―0350)か、道の駅きょなん(55―4518)へ。なぎさは水曜日定休。

【写真説明】じんた押しずしの新バージョンを手にする福岡さん=鋸南

【写真説明】ハーフ&ハーフの「じんた押しずし」

5月17日20時00分 7,468
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