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製作した部材を埋め込む砂田さん=館山

デジタル技術を応用

被災した屋根の瓦を、デジタル技術を用いて修繕する研究の発表会が13日、館山市塩見地区のかやぶき古民家「ゴンジロウ」で開かれた。同所を研究の拠点とする東京大学大学院岡部研究室の学生や地域住民ら約15人が、3Dプリンターで製作した部材が、被災箇所に埋め込まれる瞬間を祝った。

同研究室を今年卒業し、設計会社に勤務する砂田頼佳さん(29)の発表。海外で、デジタル技術を用いて屋根を修復する研究を行って昨年8月に帰国し、台風災害以降、瓦屋根の修復に技術が応用できないか検討していた。

砂田さんによると、「古い瓦の難点は、形や大きさ、施工方法が異なるため、部分的に修繕できないこと」。災害時は部材や職人が足りない事情もあるが、一部の瓦が被災した場合でも、屋根全体の瓦を取り換える必要性が高くなる。

そこで、欠損した箇所を3Dスキャンして、部分的に補強できる部材を製作し、埋め込む修繕方法を応用。3Dプリンターで型枠をつくり、そこにコンクリートを流し込んで部材を製作する方法を考案した。今年3月の完成予定だったが、新型コロナウイルスの影響で大学も閉鎖となったため、延期してのお披露目となった。

13日の完成式では、隅棟(すみむね)で破損した瓦部分に、出来上がった部材を設置。3層になった瓦3枚分の広さで、瓦の施工と同じく、今後しっくいで固定。メンテナンスをしながら、5年以上は持つという。

砂田さんは、「今回は、実働で2か月ほどかかりましたが、データが蓄積していけば、スピードは上がるはず。全て取り換えるのではなく、修繕しながら残すという選択肢をこれからも研究していきたい」と意欲を見せた。

参加した塩見区長の飯沼宏太郎さん(77)は、「地元にとって数少ないかやぶき古民家。研究の一環で保全してもらえることはありがたく、また素晴らしい挑戦だと思う」と語り、「今後も応援したい」と笑顔を見せた。

【写真説明】製作した部材を埋め込む砂田さん=館山

9月15日20時00分 498

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