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出発地点のバス停=館山

D机上の空論でなく 高齢化社会への提言

紙面の都合で毎日の掲載ではないが、連載企画「バス停小話」は、各地の路線バスのバス停を巡り、その地名の歴史的背景を掘り下げる企画だ。バス停を追うだけでは机上の空論、頭でっかちになるので、路線バスに乗る企画も続けた。

これまで、丸線、平群線、南房総市営丸山線、トミー、鋸南町営バス、日東交通市内線、同館山鴨川線などに乗って、記事にした。

そうしたバス担当記者≠ニして、「市街地循環バス」に乗った実感を書こう。

実証運行の利用データを見ても分かるが、利用者は1便当たり1桁という状況だ。これを「空気を運んでいる」と評するのはたやすいが、実情はそうではないだろう。何しろ、緊急事態宣言下なのである。

南北2ルート4路線では、合計17×2倍の本数で運行されている。ほぼ1時間に1便なので、どうしても分母が大きくなる。利用者である分子が同じ数字ならば、1便当たりの利用者は少なくなるのは明白である。

公共交通の価値は、利用者の多寡ではない。どんな利用者に対し、どんなサービスを提供できるかであろう。

実証運行はわずか2か月間。周知も足りないだろうし、認知度も低いだろう。それでも市街地をくまなく結ぼうという、意気やよし。

惜しむらくは、あそこも、ここも、あっちも、こっちもと結ぶ、立ち寄り先を定めたことだろう。

バスに付きもの「おります」ボタン=同

乗車記でも書いたが、2ルート2回りで4コースがある。どっち回りもでもいいが、これでは利用者に伝わりにくい。1時間に1本というのも、地方都市としては破格の発着間隔だし、配慮が行き届きすぎている。

館山市の企画・運営なので当然のように、どの便も市役所立ち寄りになっているが、市役所に定期的に用件のある人は少なく、この部分は、タクシー事業者に任せてもいい。

「ドア・ツー・ドア」は、そのタクシーのサービスに例えられるが、バスの車体でドア前まで運行しなくてもいいのではないか。今回の実証運行では、市役所やコミセンの玄関までバスを横付けしている。足の悪いお年寄りへの配慮だろうが、バスそのものはバリアフリー構造でない。少しくらいの徒歩が伴っても、利便性は揺るがない。

例えが悪いが、あの手この手と、かゆい所に手が届く大都市のホテルのサービスよりも、山深いひなびた旅館のセルフサービスの方が、心が落ち着くこともある。

「気配りてんこ盛り」で、あちこち小まめに回るバスよりも、バス停からは多少歩くものの、幹線をS字に描くコースの方が単純明快でよろしい。

実証期間を終えれば、行政側は積み上げたデータを分析していくことだろう。もし、予算化され、本運行になるとすれば、次の提言をしてみたい。

@南北ルートを一本化し、国道127号館山バイパス―410号北条バイパス―館山銀座通り(県道館山富浦線)―市道海岸通りをS字に走る1ルートにする。

A立ち寄る店を精査し、必要があれば、スーパーマーケットも加える。

B東口発着という発想を捨てて、西口と併せて、館山駅を一つの立ち寄り先に絞る。

Cルートの関係もあるが、1時間半に1本程度にし、外回り、内回りのルートの簡素化を図る。

D既存のバス路線(日東市内線、JR洲崎線など)との接続性を考える。

◇ ◇ ◇

人は誰もが年を取る。今は元気でマイカーのハンドルを握れても、やがて車とお別れする日が必ずくる。そのとき頼るのが、公共交通機関である。超高齢化社会を見据え、タクシー事業者、鉄道事業者を含めた行政と民間が一致団結し、地域の足を強固にしておくべきだろう。 (おわり)

【写真説明】出発地点のバス停=館山

【写真説明】バスに付きもの「おります」ボタン=同


北回り

南回り
3月1日20時00分 703

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