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作品を前に山鹿さん(左)と新井さん=南房総

3・11復興へ祈り

29日まで南房総 ギャラリーsfkで展示

東日本大震災の原発事故前から、福島県に通っていた写真家が昨年3月、写真集『桜の国ふくしま さくらと原発』(A4判変形カラー、112ページ)を出版。その写真集を見たギャラリーオーナーが感動し、写真を基に墨彩画を描いた。写真家と画家のコラボ展示「FUKUSHIMA 桜 3・11から10年 写真と絵で綴(つづ)る記録と記憶」が4日から、南房総市下滝田のギャラリーsfkで始まった。福島の美しい写真と墨彩画が静かなギャラリーを彩る。29日まで。

館山市在住の写真家、新井克英さん(77)。長い間、岩手県や宮城県の漁業関連の企業をPRする仕事に従事。3・11の取引先のほとんどが壊滅的な被害を受け、衝撃を受けた。

福島県では縁あって、イワナの養殖事業を手掛けようとしたが、事情があって土地の購入はできず、最終的に館山市に移住した。

新井さんに直接的な被害はなく、第三者的な冷静な立場でいたが、原発事故の報道の連続には「どう受け止めていいか分からない恐怖感を伴った絶望めいた感覚」になったという。被災地からの帰り道、偶然出合った花の風景が、撮影への心を動かした。

新井さんは桜を中心に、福島へ足しげく撮影に通った。福島が誇る桜を次々撮影。陰影を濃くしたモノクロベースの写真に仕上げた。

写真集は昨年、出版。撮影場所と撮影年、福島第一原発からの方角、放射線の空間線量値(マイクロシーベルト)も添えた。有名な「秋山の駒ザクラ」(エドヒガンの巨木)「三春町の滝桜」には、別途解説も加えた。

この本を手にした、ギャラリーオーナーの山鹿公珠さんが感動。掲載された写真を基に、16点の絵に仕上げた。「写真を見ていて、描かずにはいられなかった。何もできないけれど、復興途上の福島の役に立ちたかった。(復興を)祈りながら描いた」と山鹿さん。

コラボ展は、写真集を見て絵を描き出した山鹿さんからのオファーで実現。新井さんはA3判ノビで自家プリント。モノトーンに近いカラーで仕上げ、額装した。出展数は34点。二本松市の「合戦場のしだれ桜」、郡山市の「弥明の桜」など有名な大木も見事にとらえている。

写真集出版後に、コラボ展を実現した新井さん。「撮影する行為そのものが、写真そのもの。原発事故を風化させてはならないし、その目的を写真に込めて、ゼロから焼き直した。この思いが見る人に届けば」と、愛する福島への思いを写真に込めている。

「福島への思いをプリントで皆さんに届けられれば」と、展示作品は会場で各10枚限定で販売もしている。額装仕上げで1点2万円(実費)。

午前11時から午後4時まで。火曜、水曜日は休館。

問い合わせ、はギャラリーsfk(0470―36―3052)へ。

【写真説明】作品を前に山鹿さん(左)と新井さん=南房総

3月3日20時00分 538

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