ニュース » 記事詳細

安房美術会(今泉俊一会長・会員数62人)が、創立100周年を迎えた。大正時代に産声を上げ、昭和、平成、令和と歴史を刻み、地域の美術文化の発展に大きな役割を果たしてきた。同会では記念事業としてあす3日から記念展を館山市内で開催。輝かしい歴史を飾った先人や現会員らの作品展示で、1世紀の歩みを振り返る。

同会は大正10年に、中村有楽を中心に、画家、歌人、俳人らが集まって設立。メンバーには、世界的に有名な理論物理学者の石原純(歌人)、古泉千樫(同)、齊藤光雲(日本画家)、金森南耕(同)、青木茂(児童文学作家)などが名を連ねた。

出版界で活躍した中村は、館山に移住して出版社「楽土社」を設立し、さまざまな刊行物で房州の文化向上や観光宣伝に努めた人物。多くの美術家と交流があり、そうした交流が会の結成へと発展していった。

当時は鉄道が開通して房州への来訪者が急増した時期とも重なり、観光客誘致の印刷物などに携わる美術関係者も多く、そうした時代背景も会の発足を後押しした。

第1回展を関東大震災の翌年の13年に開催。昭和9年には房州の風景を東京で紹介し、観光客を呼び込もうと日本橋白木屋百貨店で「房州風景紹介展覧会」を開くなど、先進的な取り組みも行っていたという。

関東大震災や戦争、戦後の混乱期と激動の時代を乗り越え、連綿と歴史をつないできた同会。現在も会員らは精力的に創作活動に励み、春と秋の年2回、作品を発表している。

記念展は、過去に在籍した先輩、顧問の作品を並べる「物故会員及び顧問」「特別出品」作品展(南総文化ホール)と現在の会員による春季展(館山市コミュニティセンター)の二つ。

作品展では、齊藤光雲をはじめ、青木茂、石原純、岩?巴人など作家19人の絵画、工芸、彫刻作品など28点を展示。年表なども掲示し、100年の歩みを振り返る。時間は3日は正午からで、4日から11日は午前10時〜午後5時(最終日11日は4時まで)。文化ホールは月曜休館。

100周年記念事業実行委員会委員長の溝江晃さんは「100年の歴史を誇る地域美術会は全国的にも数少ない。『安房の美術文化の向上を目指していく』という会則の下、先人たちが築き上げてきた歴史を、100周年を区切りにさらに発展させていきたい。記念展を通して、多くの方に安房美術会の歩みを知ってもらいたい」と来場を呼び掛けている。

なお、当初3日に予定されていた記念式典、記念講演は、新型コロナウイルス感染防止対策で、11月下旬に延期となった。

4月1日20時00分 585

各ページに掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁じます。著作権は房日新聞社または情報提供者に属します。

Copyright (C) 2007 Bonichi. All Rights Reserved