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水路に幼虫を放流する児童たち=鴨川

児童60人の手借り幼虫放流

かつて地元の沢や水田に見られたホタルを復活させようと、鴨川市の「東条地区環境保全の会」に所属する有志グループが、取り組みを進めている。地元の里山近くにある休耕田に水路を掘り、15日には卵から育てたヘイケボタルの幼虫1000匹余りを、近くの東条小3年生60人の手を借り放流。会員たちは「人間と自然が共生していた環境を取り戻すきっかけにしたい」との願いを胸に、その様子を見守った。

土地改良区を中心に、営農組合や幼・小PTAなどの有志で組織する同保全の会。今春には、鴨川北部道路沿いの水田で、景観植物として菜の花と食用菜花を栽培、無料で摘み取り提供したことで記憶に新しい。

清らかな自然のシンボル、ホタル復活への取り組みは、同会のホタル部会(庄司清治代表、15人)を中心に「ホタルの郷復活プロジェクト」と銘打ち、一昨年から進めている。始まりは「基盤整備などにより失われた豊かな水辺環境を取り戻したい。まずはホタルから」という思いからだった。

メンバーにホタルの飼育経験は無く、まったくのゼロから出発。自然観察指導員で、ホタルに詳しい小林洋生さんの力を借り、生息環境や生態について学習、卵を生ませ、幼虫を育てるまでの知識をものにした。

小林さんのアドバイスで「ホタルの郷」は、和泉区の里山にある山王堰にほど近い休耕田2枚、計20eを使うことに決定。堰の清らかな水は地元でもお墨付き、そこから水を引いた水路は繁殖場として申し分ない。しかし、肝心なホタルの確保が問題に。

地域に多く生息するヘイケボタルの成虫を、人海戦術で集めることになり、日が落ちると皆がタモ網を片手に、地区内のあちらこちらで探し求めた。「まるで小学生の昆虫採集。オスは比較的高い所を飛び、メスは草むらという情報を頼りに、必死に網を振り回した」と庄司代表。

メンバーそれぞれが家に持ち帰ったつがいは、水とコケを入れた発泡スチロール容器の中で、期待どおりに繁殖。ふ化にも成功、飼育途中には多少の失敗もあったが、最終的には5割程度、およそ1000匹の幼虫が、約2aまでに成長し、放流にこぎつけた。

記念すべき初放流は「環境保護に対する子どもたちへの教育効果」なども考え、地元の東条小学校に児童の手伝いを依頼。社会科の地域学習、理科の生き物探しなどを勉強する3年生60人が請け負った。

放流を前にメンバーの1人で、和泉区長の堀江俊雄さんが「ホタルは環境に左右されやすい生き物。皆さんと一緒に放流し、自然について考えていきたい」などとあいさつ。小林さんが生態などを説明した。

その後、児童たちは幅1b、深さ30aに掘られた延長約160bの水路に並び、「元気に育ってね。飛び立つ時にまた見にくるよ」などと声をかけながら、容器に入った幼虫とエサのカワニナを放った。

同会では、休耕田を所有する地主らの協力を得ながら、プロジェクトを拡大していく考え。庄司代表は「今後1、2年は放流を続け、自然繁殖するまでにしたい。北部道路の開通で開かれた地域に、ホタルで大勢の見物客を呼び込み、活気につなげることができれば」と、小さなホタルの光から始まる地域の明るい未来に夢をはせていた。

【写真説明】水路に幼虫を放流する児童たち=鴨川

09年4月16日 3,627
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