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東電の説明を聞く出席者ら=館山市「南総文化ホール」で

質問次々

対応に不満の声も

原発事故による観光業の風評被害で、千葉県の外房エリアが賠償対象区域となったことを受け、東京電力は25日、賠償請求の説明会を館山市の南総文化ホールで開いた。地域の観光業者ら約600人が出席、質疑では請求に関する質問などが相次いだ。

安房地域は鋸南町を除く3市が対象となった。説明会は20日から県内5会場で開催されているが、館山会場はすでに行われた海匝、山武会場の倍以上の出席者が詰めかけ、関心の高さを伺わせた。

説明会では冒頭、東電の千葉補償相談センターの江畑裕夫部長が今回の事故について「大変なご迷惑をかけたことを改めて深くお詫びします」と謝罪。その後担当者が、賠償の対象や賠償額の算定方法、請求の仕方などについて約40分間にわたり説明した。

質疑時間では、出席した観光業者から「営業努力で前年実績の倍の修学旅行客を受け入れる予定だったがキャンセルになった。前年より増えた分の損害も補償してくれるのか」「歓送迎会など計画停電で被害を受けたが請求できるか」「請求の締め切りはあるのか」「対象区域外だが、区域内の土産物店などに商品を卸している業者は補償の対象になるのか」――など1時間以上にわたり、多くの質問があった。

これらの質問に対し、東電側は「(キャンセルについては)予約が確認できるものに基づき賠償する」「計画停電は今回の賠償の対象となっていない」「請求に締め切りはない」「卸売業者など間接被害の請求は、地域の制限はない」などと回答。

出席者からは、「個別に相談して対応させていただきたい」などとする歯切れの悪い対応や、説明会自体の周知不足について不満の声もあがっていた。

出席していた館山市観光協会の小金晴男会長(65)は「事故発生当初は、宿泊業を中心に売り上げが7、8割落ち込む大きな被害を受け、いまも影響を引きずっている。協会としても外国人客の受け入れに力を入れているが、風評被害で反応はにぶい。今回、賠償の対象エリアとなったことは良いが、原発事故が収束しない中、いつまで補償してもらえるのか不安だ。同じ地域の鋸南町も対象となっていない。しっかり対応してもらいたい」と話していた。

【写真説明】東電の説明を聞く出席者ら=館山市「南総文化ホール」で

◇対象業者は広範囲 初回の請求期間は11月30日まで

東電の説明によると、観光業の賠償エリアはこれまで福島や茨城など4県だったが、千葉の太平洋沿岸地域も風評被害の因果関係が認められるとして、館山、鴨川、南房総を含む16市町村を新たに追加。内房の鋸南町は対象にならなかった。

対象の業者は、区域内で観光業を営む法人、個人事業主。具体的な業種は、ホテルなどの宿泊業、旅行業者、レジャー施設、バス、タクシー、観光地の飲食、小売業など幅広い。

賠償の対象は、@風評被害によって受けた解約、予約控えなどによる減収分(逸失利益)A取引先などから求められた放射線検査などの検査費用Bその他原発事故によって負担した追加的費用――の3つ。

一般的に逸失利益は、前年度など直近の売上高を基準に計算する。業種ごとに定められた平均利益率(宿泊業で60%、小売業で28%)をかけて「基準となる利益額」を算出。これに売上高の減収率から、地震、津波など原発事故以外による減少率分(時期に応じて0%〜20%)を差し引いた率をかけて割り出す。利益額の算出では、平均利益率以外を用いる方法もある。

例えば宿泊業者で、前年の3月から8月末までの売上が1000万円だったのが、500万円となったケースで計算すると、売上減少率は50%で、「基準利益額」は600万円。原発以外の減収率分を差し引た分(10%を選択した場合)の減収率は40%で、逸失利益は240万円となる。

今回の請求対象期間は、11月30日まで。次回は12月1日から2月29日までの予定。その後は3か月ごとに通知するという。

請求をすると、東電で約3週間をかけて内容を確認し、結果を通知。請求者が合意した後、約2週間で補償金を支払う流れとなっている。

今回、鋸南町は対象区域外となったが、東電では、2月中に同町を含む内房エリアの市町村、観光関係者に被害の状況について聞き取り調査を実施。新たに賠償の対象とするか検討したいとしている。

賠償請求に対する問い合わせは、東京電力福島原子力補償相談室(0120―926―404)で受け付けている。

12年1月26日 2,783
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